狼と香辛料

2006年5月5日 読書
ISBN:4840233020 文庫 支倉 凍砂 メディアワークス 2006/02 ¥620
行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ場所の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。
「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」
老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。
そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが――。
第12回電撃小説大賞<銀賞>受賞作!

剣も魔法も活躍しない。行商人と美しい狼神が繰り広げるエポック・ファンタジー!

個人的に近年は"学園物"に嵌っています。
逆にその反動からか、架空世界のファンタジー物は当たり外れが多いと感じるようになってきました。
でも、多分それは私の気のせいです(笑)
学園物だって外れも多いですし、ファンタジー物だって実際結構楽しく読んでます。

ただ、狼と香辛料は正直、若干購読が躊躇われました。特に深い理由はありませんが、強いて言うなら表紙の雰囲気と上述の紹介文にあまり惹かれなかったかもしれません。とにかくファーストインプレッションではあまり気乗りしませんでした。

結局購読に至った決め手は、鴉さんの推薦と
http://diarynote.jp/d/14571/20060215.html
WEB上での多くの高評価です。

第12回電撃大賞
http://www.mediaworks.co.jp/3taisyo/index.php
の中でも最も多くの読者レビューを見かけるような気がします。

で、読んだ感想なのですが、なるほど確かに世間の評価が高いのも頷ける作品だと思いました。全体的に上手いです。世界観を読者に自然に理解させてくれるしなやかな文章、目に浮かぶような美しい風景描写、物語の核をなすカラクリの構成、そしてロレンスとホロの軽快かつ時々ドキッとさせてくれるやり取り等は<銀賞>に相応しい作品だと思います。

あぁ、あと帯の文句にも書いてあるように、結局最後まで"剣も魔法も登場せず"、行商人としての知恵、話術、機転のみで戦い通したロレンスのサクセスストーリー(未完)には感動しました。そういった騙し合いというか、相手の思考裏の読み合いは非常に面白かったと思います。……もっとも、最後の最後だけは若干、ホロの反則技が炸裂していましたが(笑)

…とまぁ、文句の付け所の無い作品なのですが、あとは嗜好の問題でしょう。無難に綺麗にハッピーエンドでまとまる作品も好きですが、同じぐらい上手い作品ならバッドエンドで涙を誘う作品の方が好きかもしれません、最近の私は(笑)

実際、この第12回電撃大賞では全部で3作品読みました。
http://www.mediaworks.co.jp/3taisyo/index.php
すなわち、この狼と香辛料と他2冊です。
哀しみキメラ
http://diarynote.jp/d/59319/20060222.html
火目の巫女
http://diarynote.jp/d/59319/20060322.html
個人的には本当に甲乙付け難いのですが、火目の巫女や哀しみキメラの方が、狼と香辛料より印象深い作品でした。狼と香辛料は読み物として綺麗にまとまりすぎた感を受けました。
…確かに一番一般受けしそうなのは狼と香辛料だとは思いますが(笑)

続編とか出るのかなぁ…?

PS
作者は物理学専攻の方のようです。
……私も将来頑張ってみようと思います(笑)

コメント

Rei

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索