哀しみキメラ (2)

2006年9月22日 読書
ISBN:4840234841 文庫 来楽 零 メディアワークス 2006/07 ¥620
 矢代純がその家に踏み込んだとき、男はすでに死んでいた。そしてその傍らには、手負いの動物を思わせる、一人の少女がいた。伯父を呪い殺してしまった少女、森山真里。彼女の生活がおかしくなり始めたのは、二ヶ月前のあの日からだったという。一月二十八日の、京都。純はあの夜の闇と、<モノ>が跋扈する町の光景を思い出し、少女を連れ帰る。同じ頃、水藤深矢は橋の上で何者かに襲われて――。
 少女の停滞していた十年間と、三人のキメラのしずかな二ヶ月間が終わり、めまぐるしい一週間が始まる……。
 第12回電撃小説大賞<金賞>受賞作シリーズ第2弾。
http://shop.mediaworks.co.jp/ds_item.php?cd=A0601160

上述している通り、第12回電撃小説大賞<金賞>作品の続編です。
http://diarynote.jp/d/59319/20060222.html

相変わらずシナリオ構成が上手いと思います。
確かに随所にご都合主義的な部分も垣間見られるのですが、それよりは綺麗にまとまっている感の方が強いです。この辺は作者の卓越した執筆力によるものでしょう。
ただ、所々で言われているように"15歳の少女、真里"の心情が少し大人びすぎているような印象を受けました。要するに、世話をする側、される側の違いはあれど、20歳前後の大人、純、深矢、綾佳と15歳の真里の間に、心情からの年齢ギャップが感じられないように思えるのです。ひょっとしたらその辺もご都合主義と感じた要因なのかもしれませんが。
でも20前後の男2人、女1人の同居生活。最近流行の萌えや色恋沙汰への展開になるかと思いきや、そんなことにはならず、相変わらずダークな雰囲気を抱えたまま続くストーリーに拍手したいです。

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Rei

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