ISBN:4829163674 文庫 新井 輝 富士見書房 ¥588
あの夜は、本物だった。
自分の吹くハープが世界を振るわせていた。オーディエンスの息吹が、鼓動が、手に取るように分かった。ビートとグルーヴ。
うねりに身を任せるんだ。
シーナのボーカルを感じればいいんだ。
一瞬だけ、そう信じることができた――。
……でも、やはり自分は本当の本物ではない。シーナは本当の本物だけれども。
健一にはなんとなくわかっていた。突き抜けていく才能と自分との距離を。綾も、日奈も、刻也も、どこか欠けていて、どこか尖っている。
ライブを重ねるシーナ&バケッツは着実に聴衆を増やす。一方で、変わらないように思われた13階での日々が、少しずつ変わっていく。どこが、どうとは言えないけれど――。時に可笑しく、時に切ない健一の恋愛を探求する物語第八弾!

ROOM NO.1301シリーズは、毎回最初のプロローグが「物語本編の数年後の未来」が少しずつ描かれているのですが、最近このプロローグ部分を読むのが本当に切ないです。
冴子が少しずつ明るくなってきました。シーナ(=日奈)の別れの予感もします。エリも色々考えているようです。
変わらないのは健一だけ?自分だけが本物じゃない、そう自問自答する健一。「綾も、日奈も、刻也も、どこか欠けていて、どこか尖っている。」と痛いほどに感じているのでしょう。
珍しくHなシーンが無く(爆)、ちょっと地味な感じかもしれませんが、今まで以上に皆の心境が克明に描かれた第8作目です。

作者:新井輝のHP
http://araiteru.com/
私の巡回サイトでもありますv
Rei

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